コラム

ものづくり現場の生産性向上対策の基本

2022.05.11

ものづくり現場の生産性向上対策の基本

ものづくり現場の生産性向上のためには、「人・もの・時間」の管理の視点が必要である。製品を同じ数だけ作るのに、より少ない人数で実現できたとき、またはより短い時間で実現できたとき、あるいはより少ない資本で実現できたとき、ものづくりの生産性は向上したと言えることになる。そしてものづくり現場には、材料を製品に仕上げるために加工していく個々の技術(板金加工や機械加工、塗装など)と、それら技術をできるだけ無駄のないように上手くつないで早く製品を完成させる管理技術(生産管理やムダ取り改善、流れ改善など)があり、現場の個々の状況に合わせて上手くバランス良く運用することが大事だ。ものづくり現場において、各職場の担当者が高い技術を有して互いに上手く連携出来れば、組織全体として効率的なのものづくりができ、仕事もきっと楽になるはずだ。特に、生産性の高いものづくりの実現には生産現場のIE管理が不可欠になってくるが、ここではものづくり現場の生産性向上対策のための基本的な対策手順の例について概説する。

1. 現状をよく知る

生産性向上のための改善活動の基本として、まずは現状のものづくりのプロセスを「見える化」し、それを仲間と一緒に考えられるよう「共有化」することが重要である。現状を正しく記述することは、問題点発見、問題解決の方策を検討する上での基礎となる。

(1)『見える化』
現場の問題点を正しく発見できるためにも、まずは、現状どのようなものづくりを行っているか、業務や情報を客観的に把握できるようにすることが基本である。特にものづくりの工程フローをきちんと表すことから始めたい。
そして、生産リードタイムや各工程に加工情報(ロット数、段取り替え時間、サイクルタイムなど)を追加して現状を見える化していくのである。下記は、工程フローの例である。

工程フローの例

図1. 工程フローの例

(2)『共有化』
客観的に現状を目に見える形で表せたら、その結果を必要と思われる社内外の関係者において、いつでも使えるようにしておく。これは他部門の意見を取り入れて、組織全体の知見やスキルを有効に活用するのに役立つ。

2. 現状の問題点を知る

ものづくりを付加価値の流れという視点で眺めると、今まで見えなかったものが見えてくる。 生産現場の主な課題である「付加価値を生まない作業」をどのように発見するか。作業者の動きを正味作業・付随作業・ムダに分けて、付加価値を生む正味作業以外の作業を減らしていくことが改善のポイントとなる。
① 正味作業・・・付加価値を高める作業。例えば板金を曲げる・切るなど。
② 付随作業・・・付加価値はないが、今の作業下ではやらなければならない作業。
        例えば材料を取りに行くなど。
③ ムダ・・・付加価値を高めない作業。例えば手待ち、不良品の手直しなど。

3. 改善の着眼点や改善策を検討する

(1)ムダの発見
特に付加価値を生まない「7つのムダ」視点で、現場の問題点を洗い出し、これらのムダを削減することで改善につなげる。
① つくり過ぎのムダ・・・不要なものを余分に作ってしまうムダ
② 手待ちのムダ・・・作業員の手が待ちの状態にあるムダ
③ 運搬のムダ・・・不必要なモノの移動、仮置き、積み替えなどのムダ
④ 加工そのもののムダ・・・最適で加工手段、必要以上の仕上げ作業などのムダ
⑤ 在庫のムダ・・・材料・部品、仕掛品、完成品などが倉庫で理由なく滞留しているムダ
⑥ 動作のムダ・・・探す、持ち替える、調べるなどの不要な動作
⑦ 不良をつくるムダ・・・不良品を発生させて廃棄する、手直しする、造り直すムダ

(2)ボトルネックの特定
ものづくりの流れを阻害し、最もスループットを下げさせているボトルネック工程を特定する。この工程の改善が全体のスループット向上に大きく貢献する。

4. 負荷の平準化を検討する

業務によっては工程間の負荷バランスが悪く、特定の工程だけに負荷が集中し、仕事の密度や残業の量に偏りが出たりする。対策としてラインバランシングや多能化が有効である。

(1)ラインバランシング
生産ラインの各工程の作業量を均等化し、作業時間の差をなくすラインバランシングの考え方は、ものづくりが滞りなくスムーズに流れる状態をつくるに有効な方策である。

(2)多能工化
1人に複数の業務ができるように教育訓練を施し、負荷の高い工程に人的応援ができる環境を積極的に作り出す方策であり、人員を適切に配置できるようにして負荷の平準化を図ることができる。

上記は、ものづくり現場の生産性向上対策のための基本的な手順となるが、個々の詳細については、生産する製品の内容や種類、生産量、プロセスによって様々である。自社での改善活動がスムーズにできれば一番良いが、業界の常識や思い込みが活動の妨げになるケースも少なくない。客観的な視点や他社と比較した自社の実力の把握、また改善へのスピードを求めるのであれば、専門家による支援が最も有効であり、改善活動を一気に加速させることができる。

 

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