コラム

電気用品安全法(電安法)の対象製品と輸入事業者の義務

2022.11.27

電気用品安全法(電安法)の対象製品と輸入事業者の義務

1. 電気用品安全法の適用対象製品と対象事業者

1-1. 適用対象製品

電気用品安全法(以下、電安法と称す)は「電気用品の製造、販売を規制するとともに、電気用品の安全性確保につき民間事業者の自主的活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する」を目的に制定され、その規制対象製品の範囲を図1に示す。
対象製品は特定電気用品(構造及び使用方法からみて、特に危険又は障害の発生する恐れが多い電気用品で現在116品目を指定)と特定電気用品以外の電気用品(現在341品目を指定)がある。

電安法の適用対象製品の画像

図1. 電安法の適用対象製品(出典:経産省・製品安全課資料)

 

1-2. 適用対象事業者

電安法の適用対象製品を製造、輸入又は販売を行う事業者は法が定める義務を負うが、製造・輸入・販売事業者の定義は表1となっている。輸入事業者やBtoCにより販売事業をする者は個人であっても電安法の義務を負うことに注意が必要である。

表1. 事業者の定義

事業者区分定義備考
製造事業者電気用品を完成(完成検査が終了した時をもって、製造行為の完了と判断する)させる行為を事業として行う者★継続的又は反復的に行わない個人売買は事業と見なさない
★個人が本人使用のために行う個人輸入は対象外となる
★レンタルは販売に含まれない
輸入事業者電気用品を外国から日本国内に引き取る行為(通関)を事業として行う者で、通関手続きの完了をもって輸入行為完了とみなす
販売事業者電気用品の所有権を移転する行為を行う者で、BtoCによる販売も含まれる

 

2. 電安法適用対象者の義務

対象事業者が電安法適用対象品を販売する前に行わなければならない義務は表2の通りである。また、違反行為の重大性判断により罰金刑や懲役刑が課せられる。

表2. 対象事業者の義務

義務項目義務内容対象事業者違反時の刑罰
事業届出事業開始日から30日以内に経産省大臣に届出する製造又は輸入者30万円以下の罰金
技術基準適合義務★設計が技術基準に適合すること
★省令で定める項目の検査を実施し、結果を記録・保存する
製造又は輸入者30万円以下の罰金
特定電気用品の適合検査★上記の技術基準適合義務を履行する
★ダブルチェックとして、国に登録した登録検査機関の技術基準適合検査を受け、証明書を保存する
製造又は輸入者30万円以下の罰金
PSEマーク表示上記の届出と技術基準適合義務を履行後、PSEマークを電気用品に表示する製造又は輸入者1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方
販売制限PSEマークを表示しないで販売又は販売目的の陳列をしない製造、輸入者又は販売者1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方

 

3. 輸入事業者として注意すべき電安法の義務

3-1. 家電機器の輸入・インターネット取引の動向

我が国においては、中国をはじめとする東南アジア諸国への製造委託する傾向は続き、家電機器の輸入金額推移は財務省・貿易統計によると、2020年輸入額は1兆442億円(2010年対比158%)となっている。
また、消費者向けインターネット取引(以下、 BtoC-ECと称す)の市場も拡大を続け、経産省報告書「令和元年度・電子商取引に関する市場調査」によると図2に示すように2019 年市場規模は19兆3609億円(2010年対比249%)となっている。その中で物販系市場規模は、家電関係規模が1兆8239億円で物販系市場規模の約18%を占めている。

BtoC–EC市場規模推移の図

図2. BtoC–EC市場規模推移(出典:経産省・市場調査報告書)

 

3-2. 輸入品及BtoC-ECでの重大製品事故件数推移

上記した輸入品の増加及びBtoC-ECの拡大に伴い製品事故が増加傾向にある。経産省報告書「2020年の製品事故発生状況及び課題」によると、図3に示したように重大製品事故(死亡事故、30日以上の治療期間を有する重症、消防が認定した火災、CO中毒事故、後遺障害事故)件数は国内生産品が減少傾向にあるのに対し外国産は増加している。
また、重大製品事故の製品入手経路別の比率を見ると、BtoC-ECで購入した製品の事故も増加傾向にあり、2020年は全体の10%超となっている(図4)。

生産国別重大製品事故件数推移の図

図3. 生産国別重大製品事故件数推移(出典:経産省・報告書)

製品入手経路別製品事故比率推移の図

図4. 製品入手経路別製品事故比率推移(出典:経産省・報告書)

 

3-3. 輸入事業者が負う電安法の適用対象製品と義務

ここで注意しなければならないことは、電気用品を外国から日本国内に引き取る行為(通関)を事業として行う者(輸入事業者)も電安法の適用対象事業者となり、製造事業者や販売事業者と同等の義務を負うことである。上述の通り、インターネット取引による輸入品が増加する中で、これらを扱う個人を含む輸入事業者としては特に注意が必要である。

 

4. 電安法の対応方法

製品販売前に実施しなければならない電安法の対応フローを図5に示す。

電安法の対応フローの画像

図5. 販売前の電安法対応フロー(経産省資料を参考に作成)

① 最初に製造、輸入、販売する製品が電安法適用対象か否かの判断をする。
② 対象品である場合、製造又は輸入事業者が別に存在し販売のみを行う事業者は販売する製品に規定された表示方法でPSEマークが表示されているかを確認する。表示がない場合は販売できない。
③ 製造または輸入事業者は、製品の用途、機能、構造、定格から定められている品目と型式区分を選定し、事業開始30日以内に所定の様式にて、事業所所在地を管轄する経済産業局長宛に事業届出書を提出する。事業所所在地が複数の経済産業局管轄区域内にまたがる場合は経産省大臣宛に届ける。
④ 製造または輸入事業者は技術基準省令解釈を参照し、適用する技術基準を選択して、適合しているかを確認する。
⑤ 製品が特定電気用品に該当する場合は、国が指定する登録検査機関による技術基準適合検査を受けて、適合証明書を保存する。
⑥ 製造または輸入事業者は製品を検査し、検査結果を3年間保存する。
⑦ 製造または輸入事業者は販売する製品に規定された様式に従い、PSEマークを表示する。特定電気用品と特定電気用品以外では表示様式が異なるので注意が必要である。

電安法では国に対し、違反事業者に対する立入検査、改善命令、リコール命令等の権限を付与し、必要に応じて罰金刑や懲役刑も課せる。
電安法の適用製品を製造、輸入及び販売する事業者は、法の目的「電気用品による危険及び障害の発生を防止する」を理解し、電安法を遵守することが重要である。
上述したように電安法遵守には技術的知見も必要であり、初めて電安法対象品と思われる製品を製造、輸入または販売する場合は専門家の技術コンサルを受けることを推奨する。

 

株式会社英知継承では、本テーマに関して当該専門家による技術コンサルティング(技術支援・技術協力)が可能です。下記よりお気軽にお問い合わせください。

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