コラム

セルロースナノファイバー(CNF)の特徴と応用例

2020.03.26

1. セルロースナノファイバー(CNF)の概要

 

1-1. セルロースナノファイバー(CNF)とは


ナノセルロースは、「セルロースナノファイバー(CNF)」及び
「セルロースナノクリスタル(CNC)」に大別され、更にそれらを
原料とした複合材料も包含した概念であるとも言われている。

1)セルロースナノファイバー(CNF)
 
幅:4~100nm、長さ:5μm以上で高アスペクト比を持つ。
 
機械的解繊法等で製造される。

2)セルロースナノクリスタル(CNC)
 針(ひげ)状結晶で、幅:10~50nm、長さ:100~500nmで、
 酸加水分解法で製造される。

本技術資料では、上記の1)、2)を含む広範囲の材料を
セルロースナノファイバー(以下、CNFと略記)として示す。

このように、CNFは主に木材から得られる繊維質材料(代表例:パルプ)
の植物細胞壁を機械的又は化学的手法でナノサイズに解繊したものであり、
植物繊維由来であることから環境負荷が小さく高分子材料などと
複合化可能であり、補強効果が大きい特長がある。

1-2. CNFの特徴


CNFは、形状や固有の特性により多くの特徴がある。
主な特徴は以下の通りである。

1)軽量で環境に優しいバイオマス素材(再生可能な持続型資源)である。
2)超微細な繊維であり比表面積が大きい。
3)熱による寸法変化が小さい。
4)ガスバリア性が優れる。
5)水中、溶媒中で特徴的な粘性を発揮する。

 

2. 高分子材料との複合化材料としてのCNF

 

2-1. 応用展開例


CNFと熱可塑性樹脂の直接混練法は当初は京都大学で研究され
「京都プロセス」と呼ばれている。
CNF強化樹脂成形体として製造コストも大幅に削減でき
多くの展開が期待されている。
この考え方は多くの高分子材料に展開されている。

2-2. 補強繊維としての特性


CNFの繊維としての特徴は以下の通りである。
併せて、他の補強繊維との比較例を表に示す。

1)軽くて強い・・・鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強度がある。
2)大きな比表面積・・・250m2/g以上
3)熱変形が小さい・・・ガラスの1/50程度
4)植物由来である・・・持続型資源であり、環境負荷が小さい。

 

CNF

炭素繊維(PAN系)

ガラス繊維

密度(g/cm3)

1.5

1.82

2.55

引張弾性率(GPa)

140

230

74

引張強度(GPa)

3(推定値)

3.5

3.4

持続型資源

 

2-3. 高分子材料との複合化の展開例


CNFは高分子材料の複合化繊維として使用可能であり、それらの例を以下に示す。

1)自動車材料として
  ・・・軽量で高強度のボデイ材料、燃費向上など
2)家電製品の部品として
  ・・・耐衝撃性が優れ、リサイクル容易な軽量筺体材料など
3)建材として
  ・・・高強度でリサイクル可能な軽量建築材料など
4)包装・容器として
  ・・・ガスバリア性、耐衝撃性に優れ、環境に優しい軽量容器など
5)塗料として
  ・・・塗料のチキソ性の付与により塗装性、顔料の分散性の改善など


3. その他の用途分野への展開例

 

高分子材料との複合化する用途以外の用途例を以下に示す。

1)吸水性材料として・・・おむつ用素材など
2)食品添加物として・・・どら焼き、和菓子(桜餅)など
3)化粧品添加物として・・・化粧ジェルなど

 

4. 研究開発動向(展開例)

 

4-1. CNFの製造技術の開発動向


CNFの製造技術としては、1)機械的解繊、2)化学的解繊がある。
このうち、1)では高圧ホモジナイザー、グラインダー処理などが
検討されており、2)ではTEMPO(2,2,6,6-テトラネチルピペリジン
-1-オキソラジカル)処理の改善方法などが検討されている。

製造プロセスの見直しによるコストダウンも検討されている。
また、CNFの新しい製造手法として従来のCNFの長さと幅の
分布状態が狭く、表面特性の異なるタイプが開発されている。
これらは特に高分子材料の補強材としての有用性が高いと言われている。

4-2. CNFの特性研究


CNFの平均長さ及び長さの分布状態の把握は複合材料への応用に
重要であり、これまで透過型電子顕微鏡(TEM)や原子間力顕微鏡
(AFM)などで観測されていたが、更に改良研究が進められている。
また、界面特性の研究も進められており、高分子材料との複合化の
促進を有効にしている。
これらを受けて、複合化材料の内部構造の観察などは
多くの分析手法により幅広く進められている。

4-3. 応用研究例


CNFの応用研究例として、CNF単体で使用される場合及び
複合体として使用される場合がある。
これらの新しい応用分野として、1)ではナノペーパー
(CNFをシート状や膜状にしたもの)としての展開、
2)ではエアロゲル・発泡材料への展開、複合材料への展開
などが進められている。


この様なCNFの展開により、1)材料の軽量化、2)脱石油資源化、
3)高性能・高機能化の実現が図られ、地球温暖化の防止、
深刻化する資源問題の解決及び農林業の発展が期待される。

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