コラム

植物由来原料を使用したプラスチック

2020.04.07

植物由来原料を使用したプラスチック

1. 植物由来原料を使用したプラスチックの概要(分類)

現在のプラスチックの多くは石油由来の原材料を使用しているが、環境負荷が大きいことなどから持続可能な天然の植物由来原料に代替する研究が進められている。これらのプラスチック(高分子材料)を植物由来原料の使用状況(使用比率)の違いから分類すると以下の通りである。 1)植物由来原料のみを使用する場合・・・ポリ乳酸(PLA)など
2)植物由来原料を一部使用(代替)する場合・・・ポリアミド(PA)など
3)その他(補強用の繊維(ガラス繊維)などを代替する場合)
本記事ではこれらの概要を説明するが、特に2)のカテゴリーを中心に説明する。

2. 植物由来原料のみを使用するプラスチック

このカテゴリーは、植物由来原料(バイオマスと言われる)のみを使用してプラスチック(高分子材料)を製造するもので、バイオプラスチック(バイオポリマー)などと呼ばれている。具体的にはポリ乳酸(PLA)、変性澱粉、脂肪族ポリエステル樹脂などがある。上記のポリ乳酸は、澱粉や糖の含有量の多いトウモロコシやサトウキビなどから製造される。即ち、澱粉や糖を発酵させて乳酸を製造し、それらを重合されてポリマー(ポリ乳酸)とし、従来の石油系高分子材料と同様に成形加工して包装資材、日用品、家電製品部材、自動車用部品などに使用されている。これらの原料は、植物であるから原材料として再生可能であり、使用後は生分解性があるなどの特長があり、地球環境に優しいものと評価されている。このカテゴリーの高分子材料については日本バイオプラスチック協会が取りまとめて啓蒙活動などを実施している。

3. 植物由来原料を一部使用するプラスチック

3-1. 概要

このカテゴリーに分類されるものとしては、2成分以上の粗原料(モノマー)を使用する際に、石油系高分子材料の原料のうちの少なくとも一部(一方)を植物由来原料で代替するものであり、他方は従来通り石油系原料を使用するものである。即ち、植物由来原料を使用して一方のモノマーを製造し、それらのモノマーを石油系原料のモノマーと反応させて高分子材料を得るものである。従って、当該高分子材料の中における植物由来原料への代替状況(代替率)を如何に高めるかが重要になって来る。

3-2. 植物由来原料を一部代替するものの例

植物由来原料を一部使用するもの(一部代替するもの)としては、多くの高分子材料で試みられている。植物由来原料の使い方の一例は以下の通りである(PETの製造)。

植物由来原料の一例

このカテゴリーに属する高分子材料の使用例は以下の通りである。

高分子材料名 代替モノマー(中間原料) 使用する植物由来原料
ポリエステル(PET) エチレングリコール サトウキビ
ポリエステル(PPT) プロパンジオール 大豆油
ポリアミド(PA) セバシン酸 トウゴマ
ポリウレタン(PUR) ヒドロキシル化合物 ひまし油
ポリエチレン(PE) エタノール サトウキビ
熱硬化性樹脂(PF系) リグニン 木材(リグニン)

(注)上記では一例を示したものであり、これらに限定されるものではない。

3-3. 成形品の主な特徴

このカテゴリーに含まれる高分子材料は、複数使用されるモノマーのうちの一方のモノマーを植物由来原料により代替されているので、当然植物由来原料の使用比率は半分程度(50%程度)である。従って、その効果も半分程度であるが、今後更に増加させる研究が続いているため、その効果は増大するであろう。
主な特徴は以下の通りである。
1)植物由来原料を使用しているので、地球環境への影響も比較的小さい。
2)植物由来原料としては非可食原料を使用しているので、環境への影響もバイオプラスチ
 ックと同様である。
3)従来の石油系原料によるものに対して、同様の製造設備を使用することができ、同等の
 品質を確保している。(新たな設備投資などは不要である。但し、多少の修正・改善は
 必要になる場合もある。)
4)用途は従来の石油系原料を使用したものと同様の用途範囲が可能である。
 ある程度の自然分解性を持っているため、廃棄物対策は軽減できる。
5)開発当初は価格的に厳しい面もあるが、量産化に伴い合理化を図り価格の低下を実現
 することが重要である。

補強材料名 使用目的 用途(例)※
竹繊維(繊維) 補強材,抗菌剤 介護用品,育児用品
竹繊維(粉末) 補強材,充填剤,抗菌剤 汎用プラの補強材
ジュート 補強材 PURフォームの補強材
ケナフ 補強材 紙代替品(不燃紙の基材)
木材繊維 補強材,充填剤 ノベルテイ商品
木材リグニン 補強材,充填剤 PF系成形品

(注)※本資料では一例を示したものであり、これらに限定されるものではない。

4. その他の分野

その他の分野として、ガラス繊維などの補強材料の代替材料としての可能性が検討されている。補強材料として検討されている例は以下の通りである。これらの植物由来原料の応用研究は、繊維製造機械メーカーやNPOなどで進められている場合が多い。尚、セルロースナノファイバーに関しては、別の技術解説ページにて記載しており、それらを参照されたい。
セルロースナノファイバー(CNF)の特徴と応用例

5. 今後の課題と対応

高分子材料の原料を多彩な植物由来原料へ変更し実用化することは、地球環境対策にダイレクトに反映されるため、素材研究者、製造設備業者、製造業者、用途開発者などが真剣に取り組んでいる。
今後、益々用途拡大されることが予想され、それらを踏まえて今後の課題としてまとめると以下の通りである。
1)本件は地球環境の保全のために重要なテーマであるが、これらの製品が市場で理解(採
 用)されるまでには多くの努力が必要である。
2)植物由来原料の使用比率を高めること、品質確保を図ること、製造設備の制限を排除す
 ることは矛盾しないので、最適化条件を見出すことは可能である。
3)開発当初は価格的に不利である場合が多いが、従来品(既存品)の問題点を解決すれば
 新しい用途開発が可能になる。

株式会社英知継承では、本テーマに関して当該専門家による技術コンサルティング(技術支援・技術協力)が可能です。下記よりお気軽にお問い合わせください。

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